手術・治療法のご案内と実績

腰椎椎間板ヘルニア

椎間板は、背骨(腰椎)の椎骨と椎骨の間にはさまって存在し、体幹に加わる衝撃を吸収するクッションの役割をしています(図1)。この椎間板に強い力が加わったり、年齢的に弾力性が低下すると、亀裂が生じ、椎間板の内容物が押し出され突出します。これを椎間板ヘルニアと呼びます(図2)。後方へ(脊椎管の側)突出した椎間板が神経を圧迫すると腰痛だけでなく下肢に痛みが生じることがあります。症状が進行すると下肢の力が入りにくくなり、つまづきやすいなどの運動障害が起こります。また、ヘルニアによる神経の圧迫が強くて馬尾と呼ばれる神経が傷つくと、排尿や排便の障害を生じることがあります。痛みやしびれなどの症状は、腰の前屈動作(前かがみ)や椅子に座った時に強くなることが多いです。画像では、単純エックス線検査では椎間板や神経の描出が困難なため、MRIによる検査が必要です。

外側に突出するなど特殊なタイプのヘルニアもありますので、椎間板ヘルニアに対しては脊椎脊髄病専門医の診断と治療が必要です。適切な治療にも関わらず下肢の痛みが治らない場合、下肢の麻痺が進行する場合や前述の排尿、排便障害が出てくるような場合には、手術が必要になります。手術治療のオプションとしては、「内視鏡下ヘルニア切除術(MED)」(図3)、「顕微鏡下ヘルニア切除術」、「レーザー治療」などがあります。但し、「レーザー治療」でよくなるヘルニアのタイプは非常に限られていますので、当院専門医にご相談下さい。

脊椎分離症・すべり症

脊椎分離症というのは、脊椎の関節突起間部といわれる部位で本来つながっているべき骨の連続性が絶たれてしまっている(分離している)疾患です。主に5番目の腰椎に生じ、スポーツを行なう学童期に多く発症することから、原因は腰にかかる繰り返しの外力による疲労骨折と考えられています。本疾患の主な症状は腰痛ですが、運動時には腰痛があっても普段はあまり症状がないことが多いため、放置される例も少なくありません。しかし、早期にコルセットやギプス固定などの適切な保存的治療を行うことで、骨折した部分の癒合が期待できます。早期診断にはX線だけでなく、CTやMRIなどの検査が必要です。したがって、お子さんに運動時の腰痛が生じた場合は早期に脊椎脊髄病専門医を受診することが大切です。分離症が放置された場合、隣り合った脊椎との間の安定性が損なわれてしまうため骨と骨との位置関係にずれが生じることがあります。この状態を脊椎分離すべり症と言います。すべりがひどくなると下肢の痛みやしびれが出現することもあり、時に手術が必要となることもあります。特に骨の成長が不十分な若年者にすべりが生じやすいと言われています。したがって早期の適切な診断と治療が重要です。腰痛が長引く場合や下肢の痛み・シビレが出現した場合、早めに脊椎脊髄病専門医を受診することをお勧めします。

腰部脊柱管狭窄症

背骨には椎骨や椎間板の後方に神経の通り道である脊柱管と呼ばれる管があります。長い年月の間、体を支え続けていると背骨が変形してこの脊柱管が狭くなってきます(図4)。腰部で脊柱管が狭くなった状態を腰部脊柱管狭窄と呼びます。腰部脊柱管狭窄症は、50歳代以降から徐々に増えてきます。脊柱管が狭くなると、そのなかを通っている神経(馬尾や神経根)が圧迫されて、坐骨神経痛と呼ばれる下肢の神経痛やしびれ、麻痺(脱力)が発生します。時には、両下肢のしびれの他に、股間のほてり、排尿後にまだ尿が完全に出し切れない感じ(残尿感)、便秘などの膀胱・直腸症状が発生します。これらの症状は、主に起床・歩行時に惹起されます。そのため腰部脊柱管狭窄症では、長距離を続けて歩くことができなくなり、歩行と休息を繰り返す間欠跛行という状態になります。歩くと下肢の痛みやしびれが強くなってくる、あるいは下肢の症状に排尿の異常を伴うような症状があれば腰部脊柱管狭窄が疑われます。狭窄の程度を判断するために、MRIやMRミエロといった専門的な検査が必要です。また、間欠跛行は下肢の動脈閉塞症(動脈硬化などによる)でも同様の症状となるため、下肢血管病変の検査も診断上必要です。

薬物療法(内服)、ブロック注射などで効果がなく狭窄の程度が強い場合は、狭窄を解除して神経を緩める手術的な治療が必要となりますので、脊椎脊髄病専門医の診察が必要になります。

腰椎変性すべり症

変性すべり症は、腰椎が前後にずれてしまう病気で、中年以降に好発し、第4番目の腰椎によく生じます。原因は明らかではありませんが、多くは加齢とともに腰椎の椎間板やその周りの関節・靭帯が緩み、腰椎が不安定性(ぐらつき)を伴ってずれるようになり、すべりが進行していきます(図5)。腰痛は軽い場合もありますが、すべりが進行すると脊柱管の狭窄による間欠跛行(長い距離を歩くと痛み・しびれが強くなり、しゃがみこむと症状が軽減する)を認めたり、末期になると安静時にも下肢の痛みやしびれが出現することがあります。症状は立位で出現し、坐位で軽減することが一般的です。治療は、下肢の疼痛やしびれが強い場合、ブロック療法などを試みますが、投薬治療を含めてこれらの保存療法で改善の得られない症例では、神経の除圧術や脊椎固定術(図6)などの手術が必要となることがありますので、早めに脊椎脊髄病専門医の診察をお勧めします。

当院では、最新の手術システムを導入して固定術においても低侵襲の手術法(MISt)を可能な限り行っておりますので、当院専門医にご相談下さい。

腰椎変性(後)側弯症

変性(後)側弯症は加齢に伴って椎間板や椎骨が変性したり腰背筋が低下したりして、体幹をまっすぐ支える力が弱くなり、脊柱が側方や前方に曲がったり捻れを伴ったりする状態です。主な症状は腰痛ですが、椎体変形や脊柱の捻れ(回旋変形)が強くなると神経を圧迫して、下肢のしびれ、痛みや間欠跛行が生じる場合も少なくありません。また、後側弯がひどくなると体幹のバランスも悪くなり、日常生活に支障を生じます。治療は、症状が軽度の場合はコルセットなどで保存的に治療しますが、腰痛・下肢痛や体幹バランスの悪化で日常生活に強く支障がある場合には手術療法が選択されます。手術は神経の除圧や脊椎変形の矯正固定などの特殊な技術と専門性の高い知識が必要になりますので、脊椎脊髄病専門医の診察をお勧めします。

骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折

骨粗鬆症は骨の吸収と形成のバランスがくずれて、骨量が減少し弱くなった状態を言います。骨粗髪症になると骨がすかすかになるだけではなく、骨の質も変化するため、骨が脆くなります。骨のバランスは女性ホルモンの影響をうけるため、女性では閉経後に多く見られます。骨粗鬆症で脆くなった脊椎に生じる骨折を圧迫骨折と言います(図7)。

骨粗髪症が進行すると、転倒などの外傷がなくても圧迫骨折を生じる場合があります。骨折すると背中や腰の激痛を生じます。潰れた脊椎は元の形には戻らないので、潰れた状態で骨が癒合して痛みはとれていきます。痛みがとれた後にも背中が丸くなる(円背、猫背)、身長が低くなるといった状態が残ります。一度骨折を起こすと次々に起こりやすくなることから、骨折に対する初期治療だけでなく骨粗鬆症の予防が重要と考えられています。当院でも骨の量は比較的簡単に計測できますので、骨量の減少がみられる場合、骨の量を増やしたり骨を強くする作用の薬物を投与します。またすでに圧迫骨折を生じてしまっている場合は、コルセットやギプスなどを使用して痛みを和らげたり脊椎変形の防止につとめます。適切な処置を病院で行わないと骨が癒合せず痛みが持続する場合があります。この癒合は潰れた椎骨内の空洞をバルーンで膨らませて広げ、そこに骨セメントを注入します(BKP)(図8)。また、時には骨折した骨の不安定性や変形のため、神経が障害され下肢の麻痺を生じる場合があります。神経の除圧や固定術が必要になることがありますので、早めに脊椎脊髄病専門医を受診することをお勧めします。

頚椎椎間板ヘルニア

頸椎も腰椎同様に椎骨と椎骨の間に椎間板が存在し、脊柱に可動性を持たせながらクッションとしての役割も担っており、加齢等により周囲の線維輪に亀裂が入り内容物が脱出する椎間板ヘルニアになることがあります(図9)。

症状はヘルニアの突出方向によって異なりますが、脊髄自体や脊髄から分岐した神経根(神経の枝)を圧迫することにより、片側の頚部から肩および肩甲骨・腕などの痛みやしびれを生じ、筋力低下を呈することもあります。一方、中央に大きく突出した場合には脊髄自体を圧迫することにより、手指の細かな運動がしづらい、歩行障害や膀胱直腸障害(頻尿、尿閉、尿失禁など)などの症状が出現します。保存療法で強い痛みやしびれが改善されない場合や、脊髄や神経根の圧迫による神経障害が出現した場合には早期に手術を要する場合もありますので、上記の様な症状を自覚した場合には脊椎脊髄病専門医に受診して下さい。

頚椎症性神経根症・頚椎症性脊髄症(頚髄症)

頚の骨(頚椎)自体あるいは椎間板が傷んで骨棘(こつきょく)という骨・軟骨が増生するため、頚椎が加齢に伴い変性した状態を頚椎症と言います。骨棘が神経の枝(神経根)を圧迫すると肩甲部や上肢に痛みが出ることがあります。手足のシビレや痛み、運動麻痺や排尿障害が出てきますと脊髄の圧迫が疑われますので、脊椎脊髄病専門医の診察が必要になります。骨棘の発生部位やその大きさをレントゲン像で調べ、脊髄や神経症状の程度と脊髄変形をMRI・CTなどで検査する必要があります(図10)。

軽度のシビレ感や感覚障害、痛みならば薬物療法などで様子を診ることもありますが、その症状がいっこうに良くならず加えて運動麻痺や筋力低下が出てきますと手術が必要です。手術は脊髄を圧迫している因子の大きさや場所によって前方法(前方除圧固定術)(図11)と後方法(脊柱管拡大術)(図12)に大別されます。また、頸椎自体にすべりなど不安定性がある場合や配列の不良がある場合は固定術などの併用が必要になります。いずれの場合も専門性の高い手術になりますので、当院専門医にご相談下さい。

胸部脊髄症(ヘルニア、脊椎症)

脊髄の神経は部位によって頚髄、胸髄および腰髄(馬尾)に分けられます。何らかの原因により胸髄の神経が圧迫を受け神経障害が出現した状態のことを胸部脊髄症(胸髄症)と言います。胸髄症は比較的稀な病態です。その原因として、胸髄を取り囲む胸椎(背骨)は胸郭によって安定し可動性が少ないため、頚椎や腰椎と比較すると加齢性変化が出現しづらいためであると考えられています。胸髄症の原因としては、椎間板が突出することにより発症する胸椎椎間板ヘルニア、加齢性変化によって脊椎が変形し骨の棘(とげ)が出現することによって脊髄を圧迫する変形性胸椎症、脊椎に存在する靭帯(後縦靭帯や黄色靭帯)が骨に変化してしまうことにより脊髄を圧迫する後縦靭帯骨化症や黄色靭帯骨化症があります。

一般的に中年以降に発症し、最初の症状は下肢のシビレ感や脱力であることが多く、徐々に体幹部にまで及び、体幹部の帯状の痛みを生じることもあります。症状が進行してくると歩行障害や膀胱直腸障害(頻尿、尿閉、尿失禁など)が出現します。最初の症状が下肢だけの場合、診断が難しいため、腰椎疾患として治療され、診断までに時間を要することも稀ではありません。原因不明の下肢症状が継続する場合には脊椎脊髄病専門医の受診をお勧めします。

後縦靭帯骨化症、黄色靭帯骨化症

頚椎や胸椎の脊柱管内で、前後から脊髄に接している後縦靱帯(前)や黄色靭帯(後ろ)という靭帯が骨化するとともに分厚くなり、脊髄を圧迫することによって脊髄症状を生じさせる疾患を其々、後縦靭帯骨化症、黄色靭帯骨化症といいます。後縦靭帯骨化症は頸椎部に多く、黄色靭帯骨化症は胸腰移行部に多く発生します。脊髄の圧迫が進行すると頚部や肩の痛み、手足のしびれ、手指の運動障害、歩行障害などを生じます。原因は不明ですが、東洋人の壮年期男性に多いとされ、糖尿病を合併することも多いとされています。また、一部の患者群は遺伝的な素因もあるといわれています。手指が動かしづらくなったり、歩行に支障が出てきた場合には、手術が必要となりますので、脊椎脊髄病専門医の受診を勧めします。

手術は前方から骨化を取り除き、骨を移植して固定する前方固定術と、後方から椎弓を形成して脊柱管を拡大する脊柱管拡大術があります。また骨化の形態によっては脊髄の除圧のみでなく、後方からインストルメントによる固定も併用した手術が必要となります。(図13) 厚生労働省特定疾患として認められており、医療費の公費負担を受けることができる場合がありますので自治体や医療機関にお尋ねください。

脊柱変形(思春期脊柱変形、成人脊柱変形)

徐々に進行し、大きく弯曲した脊柱のため、整容的問題、起立時のバランス不良、高度の腰背部痛をきたします。大きくは思春期に進行する思春期側弯症と高齢者に多い変性後側弯症に分けられます。思春期側弯症の場合30度を越えて進行する場合、変性後側弯症の場合は腰曲がりや腰痛や爬行のため高度のADL障害がある場合に変形の矯正手術の適応があります。
特に高齢者の場合、このような手術は侵襲の大きく、リスクの高い手術として敬遠されてきました。しかし、下記のような低侵襲手術法を導入することで侵襲やリスクを低減することが可能であり適応は広がりつつあります。(図14
腰が曲がってきて痛みが取れずお困りの方はあきらめないで是非ご相談下さい。

当院で行っている低侵襲脊椎手術について

低侵襲脊椎手術手技は皮膚切開が小さく、したがって筋肉を切開する範囲も比較的小さいので術後の回復が早いと考えられます。
主として4つの方法があります。

① 内視鏡を用いた腰椎椎間板ヘルニア切除術(MED)、腰椎開窓術(MEL)、頚椎椎弓切除術(c-MEL)
② 経皮的スクリュー挿入法(PPS)を併用した脊柱固定術(MIS-TLIF)
③ 側法アプローチによる脊柱固定術 (XLIF)
④ 骨粗鬆性圧迫骨折に対する経皮的バルーン椎体形成術 (BKP)

さらに、脊柱変形で胸椎~骨盤まで固定する大きな手術においてもXLIFやPPSなどを併用して部分的に低侵襲手術手技を導入することで、手術による出血量を大きく減少できるので患者さんの全身にかかる負担を軽減しています。

手術実績表

  腰椎
後方
除圧
固定
オー
プン
(内:胸椎
~骨盤
固定)
MIS-
TLIF
MED
/MEL
(内:頚椎内視鏡)
頚椎
拡大術
(頚椎
後方
固定)
頚椎
前方
固定
XLIF 思春期側弯症手術 BKP 脊髄
腫瘍
胸椎
腰椎
前方
固定
椎体
骨切り
その他 合計

(2014/5 ~ 2015/3)
2014
年度
合計
29 27
(2)
69 48 18
(3)
24 18 0 5 2 1 1 20 262

(2015/4 ~ 2016/3)
2015
年度
合計
17 19
(2)
75 85
(7)
35 18 71 6 8 1 1 1 6 343

(再掲:2016年 1月 ~ 3月)
2016年
1月
1   3 9 2   6   1       2 24
2016年
2月
1   3 10
(1)
5 1 7 1         2 30
2016年
3月
1 1 8 6 2   4 2 1     1 1 27

診療受付時間
月~土
午前 8:30~11:30
午後  12:30~16:00
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